memory of lover

日曜劇場『冬のサクラ』。
本編は一回しか見ていないが、予告編や番組宣伝を見ては娘と語り合っている。


脳に腫瘍を持つ主婦が年下の男性に恋をして、手術をしたら記憶をなくしてしまうということを気に病んで、ぐずぐずしているうちに手遅れになるというストーリーらしい。


手術をするのは、彼女の夫である脳神経外科医で、年下の男性に嫉妬して、彼女に二度と会わないと約束すれば手術するとかなんとかいっている。


問題その2については、天才的だかなんだか知らないけど、恋人といっしょに別の医師を探せばすむことではないのか、というのがわたしの意見。


そして、問題その1については、手術前に、恋人の名前と特徴を細かく書いて、写真とともに信頼できる友人に預けておき、手術後にそれを持ってきてもらって、それを読んでから彼と会えばまた好きになれる、問題ない、というのがわたしの意見。


娘は、意見その2については、まあ、そうかもねえと半分同意してくれたのだが、意見その1については、ママさんは前向きすぎると苦笑。


えー、だって、自分が好きになったその人は、なんにも変わらないんだから、また出会えば、また一から好きになれるに決まってるじゃない。
そのために、自分で覚え書きをしておくんだし。


いやー、そんなふうに思えないから、手術するかどうか悩むんでしょ、と娘は常識的。


名前と、この人が好きってことを入れ墨しておくって手もあるよね、とわたしはエスカレート。


メメント』という映画では、記憶が5分しか保たない男が、妻を殺した犯人を探すために、手がかりを見つけると、それを逆さ文字で入れ墨にする。
鏡に映してそれを読むためだ。
上半身はもうすっかり入れ墨だらけ。


そこまでたくさん書く必要はないのだから、読みやすいところに普通の文字で入れておけばいい。
目立つ特徴も20文字以内でまとめておくとかね。


それに、どこまでまっさらに戻ったって、相手が素敵な人なら、また恋をすることは十分に考えられる。
前の記憶のあるなしは、関係ないと思う。


反対を考えてみてもいい。
相手が記憶をなくしたとして、その前に現れて、もう一度目を留めてもらえないのなら、それまでってことじゃないの。


思うたび、会うたびに好きになっていく恋愛ならば、出会いのやり直しだって、ちっとも怖くない。
いいかえれば、きょう出会って、また恋に落ちるような二人でなければ、きょう恋している意味がない。


わたしなら、ためらうことなく、入れます、墨を。
そして、その人と再会して、また恋をする。


日曜劇場向きの話にはならないかも知れないけれどね。