しばらくぶりに、自分の時間が戻ってきた。
カフェの窓から、外の景色に向かって、自分を解き放した。
すると、五感で感じきれないものの大きさに、ふいに気づいた。
いわゆる「目には見えないもの」。
それは、とてつもなく、大きい。
その大きさと豊かさに圧倒されて、しばらくぼーっとしていた。
そうしたら、景色の見えかたが変わった。
とても薄い絹の幕に映し出されているように。
横から透かしたら、幕全体の重さで絹の織り目がゆるくたわんで、筋になって光っているのが見えるよう。
幕は幕自体で美しいけれど、
それは、向こう側に大きな大きな果実を包んでいるから。
そんなふうに、思った。