師匠

わたしは、こどものころから落語が好きで、大学の後半から数年間は、立川談志師匠の数少ない女性ファンとして、落語会や独演会をおっかけていた。
師匠に「風」こと手拭を贈ると、わたしがいく日に高座で使ってくれるなんてうれしいことも数々あった。
いまは師匠の健康問題が気がかりだが、辛くなるほどがんばって欲しいとは思わない。
田辺聖子さんは、カモカのおっちゃんがハードなリハビリをいやがったとき、自分のかわいい男にそんなことをさせられるか、と拒否に同意したそうだ。
わたしは談志師匠にとってはただのファンに過ぎないけれど、気持ちだけは田辺聖子さんと同じだ。
愛は、命の向こう側まで到達するものだと思う。
なんてことをいっているうちに、師匠がけろっとして高座に戻ってきてくれたら、それはそれですごくうれしいに決まっている。
師匠はいつもおおげさだから。
それに検査マニアで、ごくごく初期に病気を見つけすぎるきらいもあるから。
とにかく、休養でも復帰でも、師匠の好きなようにしてくれることをいちばん望んでいます。