リアル・タームズ

昨夜、娘と見ていた『乙男』のついでに『リアルク・ローズ』を見はじめたら、面白くて、引き込まれた。
嫌いな世界じゃないなあ。
顧客への誠意と駆け引きのバランス、友情と商売のバランス、熱意と知性のバランス、どこを取ってもけっこういかすではないか、黒木瞳の役。
わたしもこんな仕事師になってみたかった、と自分の意外な一面に気づくとともに、意外ではないかも、かつては「調子のいい女」と呼ばれていたのだから、と思ったり。
そうこうしているうちに、黒木瞳香里奈に人生訓を語りだした。
「二十歳の顔は自然からの贈り物、五十歳の顔はあなたの功績」という、ココ・シャネルの言葉を引用ののち、瞳、香里奈に年を尋ねる。
「26です」
「26...」
瞳、遠い目、そして。
「そのころわたしはすでに『お局さま』と呼ばれていたわ」
わたし、爆笑!
「お局さま」は、なにをかくそうこのわたしが21年前、デビュー作『部長さんがサンタクロース』で世に送り出した言葉である。
送り出したとたんに一人歩きを始めた。
わたしはまるで映画『ステラ』のベッド・ミドラーのように「娘」の活躍を陰ながら見守っていたのだが、まさか今夜ここで、黒木瞳の口から発せられた「彼女」と再会しようとは。
「お局さま」の里帰り、か。
ドラマに戻って、黒木瞳の役(いま調べた。神保美姫)の年齢設定が気になる。
「お局さま」が生まれたのは21年前の秋。
デパートの社内でそれが人口に膾炙したのは、早くとも20年前の早春あたりと思われる。
その年のお正月からNHKではいまは亡き大原麗子主演の大河ドラマ『春日の局』が放映された。
といって、わたしはそこにぶつけたわけではなく、電話取材に応じてくれた女子大時代の同級生がふともらした言葉が元になっている。
1989年の春、神保美姫は26歳....現在46歳。
それより設定が年上だと時代考証ずれているぞ、ということになるのだけれど。
オフィシャルサイトによれば、47歳!
ううむ....
88年のうちに呼ばれたのか「お局さま」と。
さすがデパート業界、言葉の流行も早かったのか?!
以上、生みの親にしかできない、わが子の年の計算でした。